簡単なようで実は恐ろしく奥が深いNHW20のグリル塞ぎ。ひょっとすると足回りの調整地獄のような状態になります。冬期の燃費改善のためにグリルを塞ぐと何が起きるか?
1.エンジン保温・暖房のための燃料投入停止(吹雪だろうが減速時や信号停止などでアイドリングストップ可能となる、燃費に対しては吸気温度よりも比熱が大きい冷却水温度の方が影響が大きい)
2.吸気温度上昇(2000rpm以上では効果が小さい、吸気温度が高いと燃料を薄く噴射することができる、EGRシステムを含めて考えると吸気温度は高ければいいというものでも無いです)
ここまでは直接的なオーバークール対策で厳冬期に%単位で差が出ます。燃費だけでは無く水温の上昇が速くなるため暖房の効きも改善します。ただし、暖房オンでエアコンが一気に冷却水の熱を奪うため露骨に燃費は悪化します。(逆に設定温度をMAX HOTにしたエアコンでエンジン放熱を行うことができます。LLCが高温状態では車室内に熱風が吹き込んでものすごく暑くなりますけど。)
これだけでは無く、冬山を走る超シビアコンディションになると次の効果も期待できます。
3.ラジエーターへの着氷・着雪による温度低下防止、ただしバンパーへは容赦なく着氷します
4.融雪剤・泥などの取り込み防止(かなりマシになります)
グリルを塞いでいる訳ではありませんがCR-Zレンタカーではこんなんなりました。
CR-Zレンタカー着雪状態、助手席側上部グリル奥にエアインテークあり
あと、最後にこれが今回のメインなのですが
5.車体前端での空気抵抗低減(NHW20の場合、夏期でも塞ぐと燃費が改善する)
なぜか、エアロパーツとして機能するらしく特にナンバープレート上下は激しく着雪する(風が当たってる)ため要注意です。というか、危険だから突起物を付けるなという規制がありますがナンバープレートは対象外。AEROPRIUS YURASTYLE neo 1/4模型風洞実験でもプレート上下をうまいこと使っていると思います。
NHW20グリル塞ぎ2011での着雪状態、ナンバープレート上下に注目
現状では公道を走る限りナンバープレートをどうすることもできない(許されない)のでプレート上下で発生する乱流をいかに処理する(している)かがミソです。この辺を考慮した2012年版を検討中。というか、検討したいけど時間が無いのが現状なので検討中のデータをまとめてみました。
問題点についてはグリル塞ぎ考察2011年版その2へつづく。
後日追記)京都トヨペット七条本店でNHP10アクア展示車を調べてみました。NHW20と同じ1NZ-FXEエンジン搭載車ですが私が気づいただけで以下の点が変わっています。
- ZVW30同様電動ウォーターポンプによるベルトレス化
- クールドEGRバルブ追加(インテーク周り大幅変更)←たしかいすゞの技術から導入、NHW20は内部EGRのみ
- エアクリーナーが驚くほど小型化
- NHW20よりもさらに短い吸気パイプ(口径も小さい?)
- ZVW30のウリである排気熱回収器がメーカーオプション(重量増?)
- ラジエーターキャップは88kPaから108kPaへ変更(加圧するらしい、小型化で必要になったか?)
- NHW20では隙間があったボンネット前端はゴムで全閉鎖(横に展示のプリウスα、アベンシスも同様)、両サイドは開放
- フロントバンパーカバー下にほぼ全周エアスパッツ追加、さらにタイヤ前にもあり2重(空力としか思えない)
- ナンバープレートは台座無しでバンパーに直づけ、若干ちりとりが前に出る形状(CR-Z同様空力か?)
- なんと補機バッテリ(12V)までもが後部座席の下(これ、交換時いちいちシート外すのか?)
…かなりアグレッシブな設計です。