プリウス

 カタログで見るばかりではサッパリ分からない(こんなレビューで伝わるとも思えない)のがタイヤ。色々な路面を様々なコンディションで初めて気づくことも多々あったりします。怪しさ抜群で実際に届くかどうかも分からなかったTOYO NANOENERGY0ですが一般道、山岳、高速を含めトータルで2000km少し走って普通に使えています。
カタログ写真風に撮った2200km弱走行後のNANOENERGY 0
 どこが普通かというと燃費をはじめ全般的にECOPIA EP001Sに近いという点。やはりというか燃費レースで表彰台を獲っているヨコハマのBluEarth-1は別格で高圧運用のBluEarth-1に敵う燃費タイヤは今のところ思いつきません。さすが燃費バトル実戦で実証済み(Combat Proven)。
 TOYO NANOENERGY0の利点はまずはBluEarth-1, EP001Sと比べて圧倒的なウエットグリップ。雨の中を数回走りましたがエコタイヤという感覚よりもGR-9000やR1Rといったグリップ優先のタイヤに近い感じです。縦溝4本というのが効いている模様です。あと、コンパウンドの水の弾き方がハンパではありません(R1Rのような斜め溝では無いので横では無く真後ろに飛ぶ)。吸水型スタッドレスと正反対です。
 次に意外なNANOENERGY0の性能は静音性。GR-9000チックなサイドブランチはBluEath-1にも入っていましたが静音性能はNANOENERGY0の方が高いです。サイレントリングという小細工も無しで。どうもBS, TYはゴムが厚めで耐パンク性能は良いものの重量で不利、サイドの剛性はどのエコタイヤも硬い。トレッドのベルトも工夫の塊。コンパウンドに至ってはどれだけ試行錯誤しているのか想像するだに恐ろしい代物です。乗り心地に関してはEP001Sの方が柔らかく高圧BluEath-1に近い細かな振動が伝わってくる感覚です。路面が綺麗ならば気になりませんが荒れた路面では快適とは言いにくいです。乗り心地(特に後部座席)だけでならばREGNO GR-XTが良かったかな。
 グリップに関してはAAAエコタイヤにしては強力(ウェットはGR-XTを上回る)ですがR1Rのような代物と比べてしまうと縦方向はともかく横は弱く、さらに最大のグリップが必要となるロック時の制動力もがっかりです。GR-XTはA-bとラベリングは目立ちませんが制動力やドライグリップは十分にあります。R1Rはうっかりブレーキをガッツリ踏むとセミバケットシートからも体が浮き上がり、四点ベルトが欲しくなるような制動力がありましたがAAAタイヤは全てロックさせるような使い方自体がNGで急制動性能は劣ります。AAAは全般に90km/h以上でも不安定で直線路はともかく北陸道賤ヶ岳周辺のような勾配付き急カーブ区間での追い越しは厳しいです。速度抑制装置付きの大型貨物と同じように80km/h以下での使用を前提としている模様です。
 NANOENERGY0の弱点としてメーカー自ら無いと書いてある耐摩耗性ですがどっかの高級スタッドレスのように1万kmを切るような事は無さそうで常識的な範囲で速い(私の使い方で1.3~1.8万km)程度と思われます。耐摩耗性能にチューンしたNANOENERGY2,3と比較しての話かと。ただし、スリップサインがある縦溝は残っていてもショルダーが先に削れてタイヤ自体が変形する可能性はあります。
 かなりクセのあるタイヤでウェット時に最大のパフォーマンスが出るはずなのですが、6月に入ってちっとも雨が降らないので本領を発揮できずにいます。そうそう、トーヨータイヤのいいところとしては値引きが渋いBS,YHと比べ"特価"が出やすい所もあります。ブランド力、装着率が壊滅的ですから。京都府でNANOENERGY0はたぶんこの1セットのみ。